トラックメイカー/ベーシストのTAKUTO(@takutobeatz)です。
「Novation」の「Circuit」を購入してみたのでレビューをします。
単体機としてのレビューだけでなく、ソフトウェアの使い心地やDAWと併用した時の使用感も書いているので、ぜひご覧ください。
【レビュー】NovationのCircuitの気になる所と良い所
私は「Novation」の「Circuit」を、「単体で使い曲のメモを作る」「DAW用のMIDIパッド・MIDIシーケンサーとして使う」「デジタルシンセとして使う」という3点の用途のために購入しました。
惜しい!と思うところはいくつかありましたが、全体的には使いやすくシンプルに上手くまとめられている印象でした。
では、早速レビューしていきたいと思います。
・オートメーションが使いにくい
オートメーションでパラメーターの動きを記録できるのですが(リアルタイム・ステップ入力、両方できます)、私には使いづらかったです。
例えば、1,2,3,4拍目の頭に音が鳴るドラムのフレーズがあったとします。
そこに、2拍目だけピッチを上げるオートメーションをステップ入力記録します。
そうすると、1,3,4拍目の頭に入力してあった音のピッチも上がってしまうのです。
なので、元に戻すには3拍目に新たにオートメーションの設定をしなければなりません。
RolandのTR-8Sも同じだったんですけど、これってメチャクチャ使いづらいと私は思います。
指定した箇所だけ変えたいのに…これだったらDAWを使った方が早いです。
リアルタイムで入力したい人には気にならないかと思います。
・コードが弾きにくい
スケールを指定した時の表示なのですが、コードが押さえにくいと感じました(慣れもあるかもしれませんが)。
オクターブを把握しやすくするためにこうしているのでしょうか?
abletonのpush2は、指を三角形にするとトライアドのコードを入力できるのですが、こちらの方が直感的でスピーディーです。
コードを押さえる時にCircuitは指を横に広げる必要があります。
あと、クロマチックモードの表示もできるのですが、ピアノの黒鍵にあたる箇所は色を少し暗くするなどの工夫が欲しいところです。
push2はクロマチックの表示が見やすいです。
・リディアンスケールがない
購入前に確認し忘れていた自分が悪かったのですが、スケールに「リディアンスケール」が無いのにびっくりしました。
使い所が少ないマニアックなスケールを入れるぐらいないなら、ダイアトニックスケールは全部揃えて欲しかったです。
スケールのプリセットは16個あるのですが、増やせなくても良いのでエディットできるようになれば…
・ドラムトラックのMIDIノートの長さを調整できない
DAWと接続して外部の「MIDIパッド」や「MIDIシーケンサー」として使う予定もありました。
単体でも曲作りできるし、DAWのサポートもできるし一石二鳥じゃん!と思っていたのですが、そうはうまくいきませんでした(泣)
CircuitのドラムトラックのMIDIシーケンスのデータをDAWに録音してビックリ。
MIDIノートがとても短いのです。
例えばですが、ドラムトラックの各拍の頭にステップ入力をします。
これって、16分音符の長さで入力されているのかな?と思ったのですが…
DAWで見てみると…メッチャ短い。
64分音符よりも短いです。
これだとDAWのサンプラーに取り込んだドラムを鳴らすと、音が短くなってしまうのです。
MIDIノートの長さを調整できれば良いのですが、残念ながらできません。
サンプラーのトリガーモードを変えれば、音が短くならないようになりますが、MIDIノートに連動してない長さでサンプルが鳴るのが私は嫌なので…
もちろん、シンセトラックならMIDIノートの長さを調整できます。
赤枠の部分で長さを調整します。下の画像はサンプルですが、もっと長く伸ばすこともできます。
ただ、こうすると和音入力ができるシンセトラックが消費されてしまうのと、シンセトラックはMIDIノートを細かく刻むことができないので、トラップで使われるような細かいハイハットの刻みを作ることができません。
ちなみに、ドラムトラックは細かく刻むことができます。
赤枠の部分の光る部分と増やしていくと、グリッチ系の細かい刻みを簡単に作ることができます。
この機能はかなり良いので、MIDIノートの長さを調整できれば最強です。
DAWでやれよって話かもしれませんが、ハードのシーケンサーでやった方が色んなパターンをすぐに試せるから気楽なんですよね。
・シンセのマクロノブの編集が大変
1〜8のノブにシンセのパラメータをアサインできるのですが、プリセットによってアサインされているものがバラバラで規則性がありません。
なのでプリセットに関しては、ノブをイジるまで音がどう変わるのか分かりません(笑)
ノブによって働きが違うので混乱します。視覚的にも分かりません。
その辺は使いやすいようにエディットすれば良いのですが、シンセのエディター(ウェブとアプリの2種類があります)がパラメータをコピペできないので、自分で作り直さないといけないのです。
例えば、「ノブの1,3,5,7をアンプエンヴェロープのADSRにして、6,8にフィルターのカットオフとレゾナンスにしたい。」とかは簡単なんですぐにできるんですが、「5のノブの設定が好きなんだけど、1,3,5,7,6,8はADSRとフィルターに使っているから、2に移動させたい」というケースに遭遇した時に、5にアサインしてあるパラメータが複雑だと移動させるのが少し大変なのです。
ですが、パラメータが豊富なのでシンセの作り込みが得意な人には良いと思います。
マクロの設定。
オシレーターの設定。
オシレーターは全部で30種類あります。
フィルターの設定。
エンヴェロープの設定。
LFOの設定。
エフェクトの設定。
モードの設定。
作りこむとこんなことまでできるみたいです。凄すぎる…
・Componentsが使いにくい
Circuitには「PACK」という概念があります。
「PACK」の中に「Sessions」「Samples」「Patches」というフォルダーがあって、その中に「ソング的なやつ(最大8小節のループ)」「オーディオサンプル」「シンセのプリセット」が格納されています。
これらを「Components」というアプリ(ウェブ版もあります)で管理します。
ソング的なやつとシンセのプリセットは名前を変更できるのですが、オーディオサンプルは名前を変更することができません。
クリックすると音は聴くことができるのですが、視覚的な判断ができないのでサンプルの整理が少しやりづらいです。
・気になるところはあるけど全体的な操作感は直感的
「◯◯がない」とか「◯◯がしにくい」とか散々文句を言ってきましたが(笑)、単体機としての全体的な使い勝手は良いと思います。
液晶が無いから「階層にどんどん潜っていく」といった複雑な操作は無くシンプルなので、直感的に操作できる所が多いです。
特にシーケンサーでの打ち込みはやりやすく、メモ程度のデモならサクッと作ることができます。
また、発売してからも小まめにアップデートしてくれているのも良いです。
・8小節までパターンを組めるのが良い
他社のシーケンサーやグルーヴボックスは、パターンの小節数が「4小節」までという仕様の物が多い印象ですが、Circuitは「8小節」まで組めることができます。
これはメチャクチャ良いです。
例えばですが、8小節あれば「4小節・4小節」で動くコード進行を作ることができます。
メーカさん、ここはもっとアピールした方が良いですよ(笑)
・気軽に外に持ち出せるのが最大の利点
スピーカー内蔵で電池で動作します。
なので、公園に持ち出してトラックメイキングすることもできちゃいます。
見える景色によって生まれる曲調が変わったりすることもあると思うので、家での制作に煮詰まった時の気分転換に良いと思います。
ベッドで寝転びながらでも使えちゃいますね。
小型軽量でヘッドフォンアウトもあるので、出張先に持ち込むこともできます。
ホテルでトラックメイキングとかカッコ良くないですか?
キラキラ光るからスタバで使ったら声をかけられるかもしれませんね(笑)
これ1台で「楽器」として完結されていて、気軽に外に持ち出せるのはかなりの利点だと思います。
まとめ
「惜しい!」と思うところが多々ありましたが、全体的にはよくできていると思いました。
シンプルに上手くまとめられていて直感的に操作できる所が多く、メモ程度の曲ならあっという間に作れます。
小型軽量でスピーカー内蔵な上に電池で動作するので、気軽にどこでもトラックメイキングができます。
シンセのエディットやオーディオサンプルの入れ替えにはPCのエディターが必須ですが、一家相伝の秘伝のタレのように漬け込んでいけば、どんどんとあなた好みのマシンになっていくはずです。
発売してから約4年ぐらい立っていますが、小まめにアップデートをしてくれているメーカーの姿勢にも好感があります。
この記事がNovationのCircuitを購入しようか悩んでいる方の参考になれば幸いです。
それでは。トラックメイカー/ベーシストのTAKUTO(@takutobeatz)でした。
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